伝統文化みらい広場

再生列車 ~希望~

更新日:

2013年3月17日(日)福島県文化センター大ホール

開演 13:00(開場12:30)

主催: 伝統文化みらい広場実行委員会 共催: 福島市教育委員会
後援:文化庁・福島県・福島市・福島県文化振興財団
NHK福島放送局・テレビユー福島・福島テレビ・福島中央テレビ・福島放送・福島民報社・福島民友新聞社・ラジオ福島・福島コミュニティ放送FMポコ

ボートレースファンからの贈り物 助成:日本財団

ご挨拶

 

伝統文化みらい広場実行委員会は、日本の伝統文化を次世代を担う子供達や、一人でも多くの方々に知っていただく為に活動しております。
祖先から受け継ぐもの、地域に伝わるもの、それらを守り繋ぎ、共有することで生まれる何か、それこそが生きる支えとなる「文化」であると信じます。
本日の公演のためにご協力下さいました方々、ご出演くださいました方々、そしてご来場賜りました皆様には、実行委員会一同心より御礼申し上げます。

番 組

1,浪江の本城御神楽

ふるさとを繋ぐ御神楽

本城御神楽は昭和10年ごろからの歴史があり、浪江町の秋祭り「十日市」や元旦に浪江神社に奉納されてきました。
各家庭を回って厄払いするなどハレの日の行事にには欠かせない郷土芸能として親しまれてきました。

2,ふるさと列車

上野発福島行きのふるさと列車出発

藤 蔭 篤 也

千年に一度の大震災と原発事故、美しい郷土が一瞬の内に瓦礫の山となり、故郷を追われ家を失った方々が沢山おられます。
二年前の故郷を心の中に残し、未だに帰れない方々の心の思いを少しでも癒すことができればと、踊りに託してみました。
もう少し曲目を入れたかったのですが、時間のつごうで、これくらいになりましたが、観て下さった方々の心のすみに、故郷の事をちょっと思い出していただければ幸いです。
元気な子供を沢山育て〝ガンバロー福島〟
ふるさと列車出発。

3,福島へのメッセージ

福島駅到着

震災直後の2011年6月、福島市の施設で行う恒例の「夏の日本舞踊合宿」を、放射能災害の少ない地域で行えないかと探しておりましたところ、文部科学省のポータルサイトを通じて、岡山大学の被災地支援グループ「おかやまバトン」から招致合宿の提案がありました。
岡山大学の学生の皆さんが寄付を集めて招いて下さるとのこと、早速準備を進め、8月2日、子供達21名と引率者4名は7泊8日の岡山合宿へ向け出発いたしました。
子供達は風評被害に委縮し、嫌われるのでは…と案じておりましたが、岡山の人々の暖かい眼差しと、励ましの言葉、そして優しい笑顔に包まれて安堵し、支えられていることを確信して震災前の快活さを取り戻すことが出来ました。
そして昨年の3月11日には、伝統文化みらい広場事業「いのち つないで つながって」(於 福島市公会堂)へ、おかやまバトン11名の皆さんが参加して下さいました。
900㎞ 離れていても、震災というピンチに繋がった絆は切れることなく深まり、「もう一度岡山へ行きたい」という子ども達の願いが叶い、昨年夏にも再び7泊8日の岡山合宿をさせて頂きました。
災害を背負い俯いた子供達に、快活さと夢や未来を取り戻して下さった1年目の合宿、そして、絆と信頼を深め、夢が叶うことを教えてくれた2年目の合宿でした。
本日、おかやまバトン13名はバスを乗り継ぎ、被災地への思いを携えて登場いたします。
花柳 沙里樹

4,再生列車 ~希望~

未来へ向かって

再生列車に寄せて
飯 塚 啓 子

ごめんなさい。思い出したくないのに思い出させてしまいますね。
あの日から二年が過ぎました。日本の遠いところではもう、あの日が何だったのか忘れてしまっているそうです。でも、私たちは決して忘れてはいけないのです。
昨年の大震災一周年プログラム、3・11と4・22で上演した創作舞踊「今、約束のとき」で、私たちは皆でできるだけ明るく元気に生きていこうと約束しました。子どもたちの明るい未来を作っていこうと約束しました。
エンディングは、30数年前に私が作った「たんぽぽの庭」という歌でした。この歌の2番の歌詞が〝むしり切れないしつこさに 根こそぎ掘ってしまおうか いえいえやっぱりよしましょう たんぽぽの庭〟なのです。
しかし私たちは、この一年の間に知らされていなかったとても恐ろしい現実と向きあい、騙されて来たことに気付いてしまいました。除染の方針も定まらず、無為に時が流れていきました。そしてとうとう、たんぽぽどころか何もかも、根こそぎ掘ってしまわなければならなくなってしまったのです。私の家の「たんぽぽの庭」は今やアスファルトで覆われた駐車場に変身してしまいました。
「今、約束のとき」の続編ともいえる今回の作品は、昨年募集した絆メールの中から、大野恵利さんの「再生列車」をタイトルとしました。
ふる里を失った者の嘆き、悲しみ。放射能という目に見えないとてつもないバケ物のような恐怖。それらは様々な形で私たち一人一人に襲いかかって来ました。
不信感から自暴自棄になってしまった人々に「一緒に生きていきましょう」と伝えたのは、けなげな子どもたちの差し出す手でした。本来、この子たちを守ってやらなければならないのに、私たちは、この子どもたちに救われるのです。
少しずつ元気になって春を迎え、夏が来て、お祭りもあって、みんなで踊ります。そしてきれいな花の種、夢の種を乗せた「再生列車」が福島に到着します。どんどん種をうえて、どんどんきれいになって、列車は未来駅へとむかいます。希望をみつけだすのが困難な時だからこそ、私たちはふんばって、ふんばって、この子たちの未来を明るいものに、希望あふれるものにしていかなければならないのです。
私たちは決して忘れません。3・11が何であったのかを。どんなに悲しく苦しくとも、決して忘れてはいけないのです。
そしてこの想いを大事に大事にして、若い人たち、子供たちに希望を持って歩んでもらえる道すじを用意していきましょう。

子供たちの未来のために。

創作舞踊に使われた絆メール全文

震災と別れ

大 槻 夕 眞

私の小学校最後の授業は、《社会》でした。
黒板の前に立つ先生の、
「これはどうゆう事ですか?」
という質問に、一人の生徒が挙手し、指名されて答えています。
――グラっ……グラグラっ……
「地震?」
「地震じゃない?」
数名の生徒が小声で喋っています。
先生には聞こえていないよう。
次の瞬間。
――グラグラっグラグラグラグラっ!!!!
3 月 11 日。14 時 46 分。
大きな揺れが私達を襲いました。
とっさの判断で、私達は机の下に潜りました。
教室の金魚の水槽は床に落ち、水が広がり、金魚は全滅。
棚の上の本やファイル類、花瓶に入った花………。机の中の教科書類まで、床に落ちました。
大きく激しい揺れに女子生徒は悲鳴をあげ、担任の先生は頑張って生徒を守り………………。
あの光景は、忘れられません。
私の隣の席だった友人はとても仲がいい友人でした。
その友人が、机の下に潜った時に、私の手を握ってくれました。なんだかすごく安心しました。
―――グラグラグラグラっ!!
大きな揺れが、また襲って来ました。
その時です。
握られた手に力がはいり、友人が口を開きました。

〝夕眞ちゃんっ!死ぬときは一緒だよっ! 〟
文字だけでは、「大袈裟だな。」と思ってしまうけれど、私はそのことばに、ちょっとクサいけれど
〝強い友情 〟
を感じました。物凄く嬉しかったです。
先生の指示で、校庭に避難することに。
学級委員長だった私は、列の先頭に立って、誘導しました。螺旋階段の途中には、出窓から倒れたマリア像が、バラバラに割れて、無惨な姿で倒れていました。
急いで外に出ると、風が強く雪も降っていました。
生徒達が風を引かないようにと、先生方は揺れているにも関わらず、窓からコートを投げて、私達に渡してくださいました。
無事に家にたどり着いて部屋に入ると、ゴミ屋敷のように、物で溢れかえっていました。
それから何日間か、一階のリビングで家族4人で寝ました。
家はガソリンスタンドなので、震災のあいだは、大変でした。
最初の二日間ぐらいは、店を開け、ガソリンの販売をしました。あんなに長い行列を見たのは、初めてでした。
さすがに三日目からはガソリンの量が減ってきて販売は辞めました。
しかし。
電話は鳴りやみませんでした。
夜中の1時であろうと2時であろうと関係ありません。〝 ガソリンを売ってください! 〟
と言う電話は続きました。
父と母は、とても困っていました。
震災から5ヶ月が経ち、季節はすっかり夏。
それは、8月の最後の方でした。
〝死ぬときは、一緒だよっ! 〟 と言ってくれた友人からのメールが一件。
内容は
『京都に引っ越すことになりました。会えますか?………。』
ビックリしました。
大切な友人の、突然の引っ越し。
すぐに理解する事が出来ませんでした。
その友人が京都に行ってから、私は、
ZONE という歌手の『secret base ~君がくれたもの~』と言う曲を知りました。
この曲が自分と友人の関係にぴったり当てはまりすぎて、この曲を聞くたびに友人とお揃いで買った熊のキーホルダーを見ながら泣いていました。

震災で原発が爆発したせいで、大切な関係を引き離してしまう。
酷すぎると思いませんか?
でも、いつまでも文句ばっかり言って、下を向いている訳にもいきません。
もっと前向きに、いろんなことを考えて、これからの未来に向かっていきたいと思います。
私達からこの福島を変えていきましょう!!!

栃木のおばあちゃんへ

大 野 真 依

二年前の春、遠くにすんでいるおばあちゃんは、おじいちゃんといっしょに、わたしのすんでいる福島市の花見山を見に来てくれたね。おばあちゃんは、とってもとってもきれいな花見山を大すきになったんだよね。
「いいところだねー。」
て、何回も何回も言ってくれて、わたしすっごーくうれしかったんだ。またね、春になったらおばあちゃんといっしょに、きれいな花見山に登りたいなってずっと思ってたんだよ。
でも、かなしい大しんさいがおこって、きょ年の春は、一しょに行くことができなくなっちゃったね。おばあちゃん、とてもがっかりしてたね。わたしもすごくかなしかったんだよ。
(なんで行けないの?)って、何回も思っていたんだ。
そんな、かなしそうなおばあちゃんを見て、わたし、すっごくいいこと思いついたんだ。
あのね、それは…あの、きれいな花見山を福島県ぜん体に広げちゃうんだ。わたしの家の前にも、町中にも、図書かんのうらにも学校にも、道ばたにも。きれいな花見山したいから、サクラやモモ、レンギョウ、雪やなぎなどをいっぱいいっぱいいうえて花をさかせるの。花のいいかおりで福島県をいっぱいにするんだ。
今は、ほうしゃのうが心配で福島に来られない人もいるけど、じょせんをして、福島をぜんぶ花見山にしたら、きっと見てくれるよね。おばあちゃんも、そんな福島県を見てみたいでしょ。わたしも見てみたいな。新かん線から福島えきにおりたら、もうホームから見える町は、かわいくて、きれいなピンクや黄色なの!!わたしもおばあちゃんといっしょにお花を見ながら県内じゅうをいっしょにまわりたいな。
おばあちゃん、きっともとの福島に、もどれるよね。そしてもっとお花いっぱいの福島にあそびに来てね。だから、長生きしてね。

東日本大震災を経験して

長 尾 愛 海

去年の3月11日に起きた大きな地震、「東日本大震災」で、私は多くのことを学び、そして失いました。
一つは、いつも日常で「当たり前だ」と感じている行動一つ一つが、とても大切で、かけがえのないモノだったという事です。
例えば、「当たり前」みたいに水道から出ている、清浄された水。スイッチを押せば、いつも「当たり前」に付く、電気。情報を知らせてくれるテレビ。口にしている食べ物…など、数えられないモノの数々。
今まで私は、この全てを何も考えずに利用し、それが普通だと思っていました。でも、その考えを大きく変えたのが、東日本大震災という、大きな出来事です。
いつもと違う生活。水は「放射能」という問題で飲めなくなり、もちろん水道からは、しばらく水が出ないので、多くの人が、水や食べ物を買い求め、外ではあまり遊べなくなりました。そして、福島は放射能が高いために、次々と転校していく大切な友達。その出来事の一つ一つに現実味がなく、周りとの絆も心なしか、脆くなっていくような、何か寂しい気持ちでいっぱいになりました。
でも、今回の大地震で得たモノもあります。
それは、踊りの合宿で場所を提供して下さった、岡山大学の皆さん方のお陰です。
私は、初めて行く岡山、そして、初めて会う、岡山バトンの皆さんに緊張していたのですが、私達を温かく迎えて下さった皆さんや、楽しい岡山での日々。もちろん岡山での稽古も厳しく、やっぱり大変だったのですが、「お疲れ様」と、笑顔で言って下さり、ご飯も作ってくれた岡山バトンの皆さんに、伝えきれない程の感謝の気持ちで、胸がいっぱいになったのを覚えています。
別れの日に溢れて止まらなくなった涙、そして、「もっと一緒にいたい」という、口をついて出た言葉。とても小さくて聞こえなかったのに、そんな私を見て、「また会おう」と言ってくれた岡バトの方々。とても遠い距離なのに、離れている今でも心が繋がっているような不思議な気持ち…つまり「絆」という大きなモノを、私は得ることが出来ました。
今回の東日本大震災で、私は、一日一日が大切だという事、時間には限りがあるという事、そして、人とのかかわりは一期一会なのだという事を改めて知る事が出来ました。
この気持ちを胸に、強く、皆で支え合いながら、この福島で生きていきたいです。

再 生 列 車

大 野 恵 利

がらっとかわって、今、暗い町
協力してかわって
明るい町
暗いと明るい逆だけど
でもでもしっかり あく手してる
つながってる
今はくもり空だけど
きっとおひさまみてくれる

今はよごれてしまっている風景だけど
きっといつかはきれいな風景になるんだ

明日駅へ必ずとう着する
あさって駅も未来も
きっとむかえに来てくれる

今は元気がないように見える町、
でも少しずつ未来への
再生列車が進んでいる

列車の中の乗客は
夢の種をもった人
私も種をもっている
どんどん種をうえてけば
きれいな景色になってくよね。
いろんな色の花がさくよね。

そして未来はステキな町へ
元気で明るいステキな町へ
笑顔あふれるステキな町へ

 

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